知ってる?フリーランス美容師の保険事情

コラム

こんにちは、サロンプロモマガジンです。働き方の多様化で、フリーランス美容師が増えている昨今。正社員美容師はサロンが社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険)に加入しているため、そこで働く美容師も社会保険に入ることになります。しかしフリーランスになると、社会保険から抜けることに。そうなると、健康保険はどうすればいいのでしょうか。今回はフリーランス美容師の保険事情をお伝えします。


・社会保険と国民健康保険の違い

日本国民は全員、公的医療保険に加入する「国民皆保険制度」が採用されています。これにより、医療費が3割負担になります。会社員や一定の条件を満たした非正規社員であれば「社会保険」、自営業者や年金受給者、学生など、企業に所属していない人は「国民健康保険」に加入します。

社会保険の健康保険には「健康保険組合」「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があります。健康保険組合は、社員が700人以上いる大企業などが国の認可を受けて独自で運営しているもの。協会けんぽは各都道府県ごとに支部があり、一般的な中小企業が加入しているとイメージするとわかりやすいです。保険料は会社との折半になるため、半分を会社側が負担してくれます。

美容業界であれば「全日本理美容健康保険組合」、東京や大阪のサロンなら「東京美容国民健康保険組合」「大阪府整容国民健康保険組合」など、様々な種類があります。

フリーランス美容師が加入するのは「国民健康保険」。運営は各市町村の自治体です。これまでサロンで正社員として働いていた美容師が独立したりフリーランスになった際には、退職日から14日以内に、社会保険から国民健康保険へ切り替える必要があります。

ただし退職日の翌日から2年間であれば、前職のサロンで加入していた健康保険を任意継続することもできます。社会保険は所属サロンが保険料を半分負担してくれていましたが、任意継続にすると全額負担しなければいけなくなります。また、社保の給付である出産手当金や傷病手当金は支給されません。任意継続するか国保に加入するかは、どちらが保険料が安いかによって決めるとよいでしょう(保険料は退職時の標準報酬月額などに基づいて決定されます)。

任意継続の保険料の料金表はこちらを参考にしてください
全国健康保険協会HPより:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r321/

・社会保険のメリット

社会保険のメリットはやはり、生活保障が手厚いことでしょう。病気やケガをして働けなくなった場合に給付金が支給される「傷病手当金」、出産のために仕事ができず、給与の支払いが受けられない場合、出産前後の計98日間、給付金が支給される「出産手当金」、失業しても離職の理由に応じて失業手当が支給される「失業給付」、子どもの1歳の誕生日前日まで給付金が支給される「育児休業給付」など、急な出来事で働けなくなっても保障がついているので安心です。また、扶養制度や、保険料の半分をサロンが負担してくれるので個人の負担が少ないこともメリットです。


・社会保険のデメリット

社会保険はお給料から天引きされるため、手取り金額が減少してしまいます。しかし、生活保障の手厚さを考えると、大きな問題ではないかもしれません。


・国民健康保険のメリット

国民健康保険は、被保険者の前年の所得金額、被保険者の人数や年齢などに応じて保険料が計算されます。社保はお給料に対して保険料が決まっていましたが、国保は所得に対して保険料が決まります。

所得金額とは、売上から経費を引いて残った金額。フリーランス美容師は面貸しサロンの使用料や薬剤、道具代など、様々な経費を使います。経費を使って所得を抑えることで、保険料も抑えることができるのです(確定申告をしっかり行いましょう!)。売上が減少した時など、減免を申し出ることができることもメリットと言えるかもしれません。


・国民健康保険のデメリット

社会保険にある「傷病手当金」と「出産手当金」の給付がないことが1番のデメリットです。「育児休業給付金」も社保だけのもので、国保は出産・育児に関する給付金がほとんど出ないため、出産を考える美容師さんは蓄えをしておかねばなりません。

しかし「出産育児一時金」は、妊娠4ヶ月以上の出産で公的医療保険に加入している被保険者であれば支給を受けることができるため、国保も対象になります。


・必ずしも国保に入らなくていい?

フリーランス美容師になれば、必ず国民健康保険に入らないといけないと思いますよね。しかし、フリーランス(個人事業主)でも加入できる健康保険組合があります。


・東京美容国民健康保険組合

画像出典元:https://kokuho-tokyobiyo.or.jp

東京都内の事業所で事業を営むフリーランス美容師であれば、「東京美容国民健康保険組合」に加入することができます。美容業界唯一の公法人組合です。保険料は年齢や家族の人数などによって変わります。
東京美容国民健康保険組合HP:https://kokuho-tokyobiyo.or.jp

ちなみに「大阪府整容国民健康保険組合」はフリーランスは加入できないので注意です。また、年収が130万円以内で、家族が健康保険組合や協会けんぽに加入していれば、扶養に入ることができます。各健康保険ごとに設定された条件がありますが、扶養家族になると保険料を負担せずに健康保険に加入することができます。

フリーランス美容師になると、自分の好きな働き方ができる自由さがありますが、その分リスクもつきまといます。保険料は所得や自治体、年齢など様々な要因によって変化します。自分に合った健康保険を選んで、フリーランス美容師生活を楽しみましょう。

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