フリーランス美容師ってどんな働き方?

コラム

働き方改革が進み、1人ひとりに合った働き方が求められるようになり、働き方が多様化してきました。それにともない、美容師さんの働き方にも変化が。サロンに属さずフリーで働く「フリーランス美容師」という働き方を耳にするようになりました。「フリーランス美容師ってどんな働き方?」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、フリーランス美容師の働き方とメリット・デメリット、集客方法などをご紹介します。

フリーランス美容師とは?

フリーランス美容師とは、サロンと直接雇用契約を結ばずに、個人事業主としてフリーで活動する美容師のこと。ちなみに「独立」との違いは、店舗を持つかどうか。美容業界において一般的な「独立」は、自分で店舗を構えること。店舗を持たずに「独立」した人を「フリーランス」と呼びます。

どのくらいの人がフリーランス美容師になっているのか

まず、全国の美容室数は年々増加しています。厚生労働省の統計(令和元年度 衛生行政報告例)によると25万4422軒で、過去最高を更新しました。同年のコンビニエンスストア数は55,620店舗(コンビニエンスストア統計調査月報 2019年1月~12月)で、4.5倍にあたる数。コンビニよりも美容室が多いというのは、よく聞かれる話かもしれません。美容師の数も過去最多の53万3814人を記録。そのうちフリーランス美容師の数は、約8万人(2017年11月日経MJ調べ)。今はもう少し増えているかと思いますが、全体の約15%を占める数字になります。100人に15人はフリーランスと考えると、なかなか多い数字ではないでしょうか。

フリーランス美容師が増えた背景

毎年、2万人の美容学生が美容師を目指してサロンで働きはじめます。しかし、大抵はアシスタントとして何年も下積みをしなければなりません。スタイリストになれても、朝早くから夜遅くまでの激務に耐えきれず、5年以内に80%が離職してしまうと言われています。

大企業においても終身雇用が守られなくなってきた時代。社員として雇用される働き方にとらわれない美容師が増えてきました。また、Yahoo! が副業人材を採用したことが記憶に新しいですが、副業OKの会社や、本業を持ちながら空いた時間を使って第2のキャリアを築くパラレルキャリアなど、出産や結婚をはじめとするライフステージの変化やライフスタイルに合わせて自分らしく働きたい、という人が増えています。

美容業界でも働き方が多様化し、「サロンに雇用される」「独立して自分の店を持つ」以外のキャリアの選択肢として、フリーランス美容師の道を選ぶ人が増えたのではないかと言われています。

フリーランス美容師のメリット・デメリット

【メリット】

1.ルールや条件、時間に縛られずに働くことができる
まず挙げられるメリットというと、とにかく自由に働けるという点でしょう。自分の好きな時間に予約を取って施術できますし、サロンのルールや決まり、就業条件に縛られることもありません。かなり自由度の高い働き方ができます。

2.高収入を得られる可能性が高い
サロンに雇用されていると月給制で毎月決まったお給料を受け取ります。フリーランスなら制限がないので、実力と集客次第では高収入を目指すことができます。

3.人間関係の煩わしさがない
サロンで働いていると、中には気の合わない人がいる場合もあるでしょう。しかし、フリーランスなら、基本関わるのはお客さんだけ。人間関係に煩わされることが少なくなります。

4.初期費用が不要
独立して自分の店舗を持つためには多額の資金が必要ですが、フリーランス美容師ならば面貸しのサロンを使うことができるため、最低限の道具があればそれでOK。フリーランスになるのに初期費用は必要ありません。

【デメリット】

1.不安定
固定給がないので、月によって売上の波が出ます。また、働かなければ収入はゼロになってしまうので、非常に不安定だと言えます。当然ボーナスもありません。

2.リスクが高い
働かなければ収入はゼロになると前述しましたが、万が一怪我に遭ったり、病気になってしまったりした場合、働くことができなくなるため、経済面でのリスクが高くなります。労災保険に加入している一般企業の従業員であれば、平均賃金の60%以上の休業補償が出る場合もあります。

3.刺激が少ない
サロンで働いていれば、先輩や後輩などの人間関係によって得られる刺激で、インスピレーションが湧いてきたり、「負けないぞ!」という気持ちが起こり、スキルアップのための努力や勉強につながります。1人でいると、スキルアップの勉強も独学になるので、常にトレンドや新しい技術へのアンテナを張り続けないといけません。

4.経費の管理・税金・保険の手続きを自分でしなければならない
確定申告で所得を申告し、税金や年金、健康保険料の支払いを自分で行う必要があります。煩雑な手続きが苦手な人にとっては少々辛い作業かもしれません。経費に余裕があるなら税理士に頼んでしまうのも1つの手です。


どうやって働く?

1.シェアサロン(面貸し)を利用する
サロンの空いている席を貸し出しする契約です。最近ではフリーランス向けのシェアサロンも続々登場しています。シャンプー台やカット椅子、道具、薬剤など、施術に必要な設備は用意されていて、自由に使える代わりに、集客は自分で行わねばなりません。

シェアサロンによりますが、相場は大体このくらいと言われています。
・歩合率50~60%(薬剤費込み)
・時間単価:1時間1500円

サロンプロモでもHPを作らせていただいた、ghost salon(ゴーストサロン)さんの還元率は50%です(ベーシックプラン)。

https://ghostsalon.jp/index.html

2.業務委託で働く
美容室とフリーランス美容師が業務委託契約を締結し、サロンのお客様を担当する契約です。業務委託美容師を募集しているサロンで、スタイリストとして働きます。多くは歩合制で、「給与」ではなく「報酬」を受け取ります。契約内容によってはサロンのルールなどに従う必要がある場合も。


年収はどのくらい?

厚生労働省発表の「令和元年賃金構造基本統計調査」によると、全国の美容師の平均年収は311万4000円です(※企業規模10人以上のサロン勤務者が対象)。

一般的な企業勤めのサラリーマンの平均年収は約400万円といわれているので、美容師の年収は平均よりは低いとされています。一方で、フリーランスとして活動する美容師には、平均して月に40~60万円ほどの報酬を得ているという方が多くいます。月に100万円以上を稼ぎ出すという方も。年収にすると、約500~700万円ほど。サロンで勤務する美容師よりも格段に稼げていることになります。ただし、積極的に情報発信を行って、うまく集客をすることが必須になります。



集客方法

1.SNSを駆使する
もはやアカウントを持っていない方が珍しいSNS。Facebook、Twitter、Instagramなどを効果的に使って、美容師としての活動を発信したり、自分の得意なスタイルをアピールすることでファンを獲得することが大切です。新規顧客の獲得が一番大変。やはりセルフブランディングが重要になります。

2.人脈を増やす
オンラインとは対照的に、オフラインでの集客方法です。知人の紹介など、横のつながりで顧客を増やしていきます。

3.美容師検索サイトに登録する
minimoやLisalo、ghost salonなど、フリーランスの美容師が登録できる検索サイトに登録する方法です。すでにお客さんがついている方なら1人での集客も容易かもしれませんが、フリーランスになりたての場合や、自分1人の力で集客する自信がないよ、という方はこういったサービスを利用しましょう。中には集客支援や独立支援、確定申告のサポートまで行ってくれるところもあります。いくつかのサービスを紹介します。

・ghost salon(ゴーストサロン)
サロンプロモでHPを作らせていただきました。フリーランス美容師として活動したい美容師と、業務委託を取り入れたいサロンが登録できるサイト。働きたい時だけ予約を入れたり、自分のペースで働くことが可能です。お気に入りのサロンがあればオファーもできます。
公式HP:https://ghostsalon.jp/index.html

・Lisalo(リサロ)
フリーランススタイリスト(業務委託美容師)専門のエージェント。集客のサポートや、SNS運用の代行、契約や確定申告のサポートまでカバーしてくれます。
公式HP:https://li-salo.com/

・GO TODAY SHAiRE SALON(ゴウトゥデイシェアサロン)
登録する美容師に個室の空間と設備を貸し出し、フリーランス美容師としての働き方やノウハウ、経験談などの現場で役立つ情報をコミュニティ内で共有します。全国で15店舗を展開中。
公式HP:https://www.shairesalon-go.today/

・MIRRENTA(ミランタ)
ミラーレンタル情報のポータルサイト。フリーランス美容師とミラーレンタル(面貸し)をしたいサロンをマッチングするサイトです。紹介や仲介は行っていませんが、月額費用を払えば、の募集や、パートナー美容師を探すことができます。
公式HP:http://www.mirrenta.com/

・by Airsalon(バイエアーサロン)
歩合率100%の面貸しサロン。売上や利用頻度に規定はなく、席料のみで1時間からの利用が可能。税務支援・社会保険・集客支援・薬剤などサポートも充実しています。フリーランス美容師のためのコミュニティも完備していて、技術・集客などの助け合いも。
公式HP:http://by.airsalon.net/

・SALONWIN(サロンウィン)
固定費5万円/8万円+技術歩合20%で利用できるシェアサロン。24時間利用でき、還元率は80%。スポット利用も可能。初期費用は無料で、独立支援や集客支援も行ってくれます。
公式HP:https://salowin.jp/

4.HPを作る
働きやすい土壌が整いつつあるので、前述したサービスを使えば、フリーランス美容師として働くことはできますが、あくまでプラットフォームを借りているようなもの。もしもそのサービスや場所がなくなれば、自力で活動しなければなりません。ポートフォリオ代わりに利用しているSNSも、無くならない保証はありません。

その時に、自分の実績や経歴を載せたホームページがあれば、万が一の時も営業し直す必要もありませんし、サービスに左右されることなく予約も取りやすくなります。また、お客様から見ても信頼を感じやすくなります。そして何より、ホームページは資産になります。これまで積み重ねてきたキャリアを一目でわかるよう、ホームページを制作するのはおすすめです。

「会社」の時代から「個人」の時代に変化してきた流れから、今後ますますフリーランス美容師の数は増加すると予想されます。いずれはフリーランスとして活動したいと考えている美容師さんはぜひ参考にしてみてくださいね。

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