フリーランス美容師のリアルボイス。働き方と集客を語る〜vol.2 ゴリライト美容師・仲地龍太さん〜

クリエイティブ

「個人で頑張る美容師さんの力になりたい」との想いから誕生した、美容師向け個人ホームページ制作サービス『Salon’s Primo ONE(サロンプロモワン)』と、動画制作サービス『サロムビ』。多様な働き方をする美容師さんが増えていく中で活躍するには、個人のブランディング力が必要です。サロンプロモマガジンでは、本サービスを本当に意義のあるものにするため、フリーランス美容師さんの生の声をインタビュー。現役で活躍する美容師さんの働き方と集客方法、そしてサービスへの率直な意見も含めた「リアルボイス」を紹介します。

2人目は、中崎町t.a.g.(タグ)の代表をつとめる仲地龍太さん(vol.1の林さんにご紹介いただきました!)。美容師歴14年目の仲地さんは、地元大阪で美容師キャリアを積み重ねました。働きながらお金を貯め、美容学校に入学。正社員と業務委託で働き、独自の「ゴリライト」というハイライト技術を生み出し、しっかりと集客を叶えておられます。仲地さんの自己実現の裏には、徹底したセルフブランディングと、たゆまぬ努力がありました。彼が目指す、次のステップとは。


環境が目標達成を加速させる。セルフブランディングで得た自分だけの武器


全く集客できなかった7年間を経て、業務委託サロンへ

ーーまずは仲地さんの経歴を教えてください。

「僕は、左官業で働きながらお金を貯めて通信学校に通い、20歳で美容室に就職しました。最初の美容室では7年くらい働きました」

ーーその後はどうされたんですか。

「フリーランスに至った経緯ですが、そのお店が全然集客できていなかったんです。年配のオーナーで、ホットペッパーもやらない美容室で。自分でお客さんを呼ぶのも厳しくなって、月曜日の休日は今までやっていた左官業でバイトして、お金を貯めてPCとIllustrator、1番安いカメラを買って、自分なりに名刺やチラシを作って駅前で配ったんですけど、全く効果がなくて。1ヶ月の売上目標があったんですけど、逆算しても到達できないと思ったので、7年で職場環境を変えてみようかなと」

ーー集客がキッカケでお店を変わられたんですね。

「自分的には毎日ブログを書いて、Facebookも毎日更新していたんですけど、全く結果に繋がらなかったので、自分の実力不足だなと思いました。それで大阪の業務委託サロンにスタイリストとして入社しました。働いて2年半経った時、会長に“ブランディングをコンセプトのサロンにしたいから、茶屋町の新店で店長をしてくれないか”と言われたんです」

ーー業務委託の店長ですか?

「そうです。茶屋町の新店で、店長と副店長のポジションで働きました。その頃ちょうど僕もゴリライトをブランディングしていて、インスタで集客がそこそこ上手くいっていました」

ーー現在は中崎町でt.a.g(2020年9月オープン)の代表をされていますね。

「コロナ禍になり、業務委託サロンの経営体制がガラッと変わるタイミングで、“店を出すので一緒にやらないか”とお誘いいただいて。t.a.gは、僕を含めた3人のオーナーで共同経営しています」

ーーそうなんですね。

「今は一応オーナーとして働かせていただいてるんですけど、報酬形態は業務委託と変わらないです」

ーー現場も3人で回しておられるんですか?

「1人は現役プレイヤーではなく、経営に専念しています。プレイヤーは僕ともう1人います」

ーーお店は21時までの営業ですが、仲地さんはご家族を優先しておられて、19時までの勤務なんですよね。それぞれが好きな時間に働かれているんですか?

「そうです。各々がインスタで集客していて、予約が入っていなければ出勤しなくていいので自由です。めちゃめちゃ働きやすいですね」


これまでのハイライトとは一線を画した「ゴリライト」を開発し、一気に集客へ

撮影場所:NOON+CAFE

ーー仲地さんが業務委託になろうと思った理由は?

「僕が業務委託にいこうと思ったのは、集客が欲しかったからです。結果的に今自分でセルフブランディングをして集客ができていますが、業務委託サロンでは会社が契約してくれているホットペッパーの集客に丸っきり頼っていました。ブランディングがコンセプトの茶屋町の新店で店長になって、常にブランディングを意識するようになり、ゴリライトがブランディングできたことで、自分でちゃんと集客できている実感が生まれました」

ーー冒頭で、売上目標があったとおっしゃっていましたが。

「漠然とした目標は“1ヶ月の指名売上100万円”でしたね。それは茶屋町の新店でやっと達成できました」

ーー最初に正社員で働いていた時よりは、収入も上がりましたか?

「上がったし、勉強にもなりました。最初の7年間が勿体ないなという気もしました」

ーー自分が身を置く環境も大事だと。

「僕はそう思いました。負けず嫌いだったので、最初の7年を経験して、“お客さんを呼べていないのは自分の実力だ”と、ずっと自分を奮い立たせながら、技術以外の勉強もし続けていました。悔しいですけど、ある程度恵まれている環境下と、恵まれていない環境下だと、やっぱり目標を達成するスピードが違うんです」

ーー環境の力が大きかった。

「僕の中では、“環境のせいにしたらアカン”というのがあったんですけど、業務委託サロンは会社の規模も大きかったので、集客できる状態が整っていました。前のお店はお客さんが全く入らない日もあって、環境を変えてからはお金の面で安心して働けました。今は環境のおかげで自分が好きなこと、やりたいことをやれている感覚があります」

ーー集客ができるようになったのは「ゴリライト」の力ですか。

「はい。ハイライトはさりげないオシャレだと思うんですが、当時は見てハッキリわかるハイライトをできる人が少なかったので、インスタで発信していたら、その技術でお客さんが来てくれて。あと僕は自分がどこに行っても常にお客さんがついてくる人でいたかったので、お客さんにインスタアカウントやLINEを教えることはずっとやっていました」

ーー普通のハイライトとゴリライトの違いは?

1番の違いは、迫力があることです。普通のハイライトよりもゴツい印象ですね。ゴリライトは少し派手めで、インパクトが強いデザインカラーをしています」

ーーゴリライトをやろうと思ったキッカケは?

「最初はハイライトができる人が少なかったんですけど、コントラストハイライト(明暗差をつけて際立たせるハイライト )は周りの美容師さんもできるようになっていったので、どうにかして差別化できないかなということで、少し派手めで迫力のあるハイライトをコンセプトにしようと思いました」

ーーゴリライトは誕生して何年ですか?

「5年くらいです。僕、業務委託サロンの先輩美容師に“ゴリラ”といじられてたんですよ(笑)。で、“ゴリラなんだからゴリライトでいいじゃん”と言われて、名前がゴリライトになりました」

ーー業務委託サロンに行かれてから誕生したんですね。元々ハイライトは得意だったんですか?

「最初はめっちゃ苦手でした。でもやっていくうちに好きになったんです。“もう、ハイライトしかしたくない!”というところまで好きになり、これをウリにしようと決めました。そして今もそう思っています」


創意工夫を欠かさない集客方法

ーー集客で困っていることはありますか。

「たまにお客さんが来ない時は不安になりますけど、予約は埋まりやすいので、そこまで不安に感じることはないですね」

ーーお客さんが来ない時にされている対策は?

「僕はマンツーマンでやりたいので、お客さんを掛け持ちしないポリシーなんです。デザインカラーに5~6時間かかるので、10時間の営業時間だと2人しか取れないんですね。1人キャンセルになったらだいぶ時間が空くし、2人キャンセルになったらその日仕事がなくなるんですよ。キャンセルが続いたり、変更になってお客さんが来ない時はあります。単純に予約が入らない時は不安なので、1回来ていただいた方にはその場で次回予約を取ってもらうと、割引サービスをつけるようにしています。あと、止むを得ない理由以外で連続でキャンセルされる人には、キャンセル料を伝えるようにします」

ーーキャンセル率は減りましたか?

「1ヶ月前からお試しでやってるんですけど、多分減っていると思います」

ーー新規とリピートのお客さんの割合は?

「ハッキリ統計は取っていないんですけど、既存の方が月60~70人、新規の方が5~10人程度。1人あたりの単価が高いので、そんな感じですね」

ーー多い施術メニューは?

「ハイライトの継続、もしくはメンテナンスが大半です。あとはハイトーンのブリーチメニューが多いですね」

ーー集客の入り口はインスタグラムだけですか?

「インスタとLINEですね。TicTokもたまに載せています。TicTokを見て来られる方もいらっしゃいます」

ーーTicTokの客層は若い方が多いですか?

「僕のお客さんは10~20代よりも、30~50代が多いです。白髪に悩んでる方とかが結構来られますね」

ーーnoteに有料で公開されている「カルテレポート」は営業の一環なのでしょうか。

「自分の練習や勉強の意味合いが強いです。気まぐれで紙のノートに手書きで書いていたカルテを皆に見てもらえるように文字にしたのが、カルテレポートなんです。ある程度お客さんが埋まるようになって、次のステップとして何ができるかなと思った時に、自分の技術を発信して、人に何かをお伝えすることかなと」

ーー教育をしていきたいと。

「店舗経営をする上で、それがいいなと思ったんです。たとえばお店を作る前から人材育成をしておいて、“お店を作ります、誰か来てくれないですか?”と言った時に来てくれると、成功しやすいイメージが僕の頭にあって。留学生でも他店のジュニアスタイリストさんでもいい。自分の技術や考え・思想をお伝えして、ゆくゆくは一緒に働くことが僕の次のステップなのかなと。なるべくお客さんを施術する時間を少なくして、裏で人を動かす仕事に目を向けていってる感じですね」

ーーカラーセミナーもその活動の一環ですか。

「そうですね。僕は話すことや言語化が苦手なので、練習のためにセミナー活動をしたり、有料記事を書いたりしています。今度一軒家を買うので、自分の部屋で集中してやろうと思っています」



今後は人材を育成し、ともに働けるシステム作りをしたい

ーー弊社では、個人の美容師さん向けのHP制作サービス『Salon’s Promo ONE(サロンプロモワン)』をリリースしました。HPとSNSと連携できたり、動画やギャラリーで得意分野をアピールしたり、いわば個人にあわせたブランディングができるプラットフォームなのですが、美容師さんから見てどう感じますか?

「とても良いと思います。ただ現状、美容師さんの中で1番の名刺は、圧倒的にインスタグラム。世の中的にもユーザーがすごく多いですよね。HPにインスタグラムやTicTokのアカウントが連携されているのは、その美容師さんを知る面ではすごく良いと思います。その上で、僕が思う“こんなのあったらいいな”という点をお伝えしてもいいですか」

ーーぜひ!

『Salon’s Promo ONE』さんでHPを作ると同時に、ブランディングやマーケティングノウハウがついてくるのであれば、美容師さんは安心してHPを頼んでくれると思います。僕も自分でHPを作ったり、頼んで作ってもらったりするんですけど、作った後にどうやって周知していくかという術を皆知らない。インスタも、自分のアカウントが見られるようにするまでのやり方がわからない方が多いと思います。結局は地道な行動だったりするんですけど、具体的なフォローやサポートがあると、だいぶ美容師は助かるのかなと」

ーーなるほど。

「既にブランディングをしている人からしたら、『Salon’s Promo ONE』でHPを作るのは名刺代わりになると思います。まだブランディングで集客できてない業務委託美容師さんなら、HPが完成した後の運営方法や、毎日やるノルマといったサポートが充実してると興味がわくのかなと思いますし、まだどこもやってないんじゃないかな」

ーー貴重なご意見ありがとうございます! 参考にさせていただきます。では、最後に今後の目標やビジョンをお聞かせください。

「今オンラインサロンを検討していまして、美容学生や美容師さん向けに技術やノウハウをわかりやすくお伝えしていきたいです。人を集めて、最終的には僕がオーナーでオンラインサロンで育った人たちに働いていただくお店を作りたい。優秀な人材を輩出して、仕事先もマッチングできる流れを自分で生み出せたらいいなと考えています」

とても物腰柔らかで、お客様とご家族を大切にされている仲地さん。環境のせいにせず、自分にできることを行動し続け、セルフブランディングで結果を出してこられたからこそ語れるお話なのだと感じました。今後は人材育成にも尽力したい、と意気込みを語ってくださいました。

t.a.g(タグ)
住所:大阪府大阪市北区中崎西1-1-23 1F
営業時間:9:00~21:00
定休日:年中無休
駐車場:店前に駐車可能
HP:https://beauty.hotpepper.jp/slnH000501351/

仲地龍太さんインスタグラム:https://www.instagram.com/t.a.g_ryuta/

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